「じわる」が死語とはされず、生き残っているのには、同じ意味を正確に伝える新しい言葉が登場していないことが関係しているのかもしれません。「じわる」と同様の言葉として、「エモい」「ウケる」「ツボ」などの言葉もありますが、「じわる」と微妙にニュアンスが異なります。
「じわる」は死語ではない
「じわる」が誕生してからかなりの期間が経過しましたが、「じわる」は死語になってしまったのでしょうか。これに関しては意見が分かれます。
一部の人からは死語といわれているものの、SNSなどでよく使われる言葉とする向きもあります。実際、2020年や2021年に若者言葉を特集した記事では、いまだによく使われる言葉として紹介し、どのような場面で使うとよいかといった説明までされていました。
「じわる」と同様の言葉として、「エモい」が挙げられますが、これは「じわる」よりもさらに古い1990年代から2000年代から使われてきました。「ウケる」「ツボ」などの言葉もありますが、「じわる」と微妙にニュアンスが異なります。
また、「シュール」も「じわる」と同義語として使われますが、「じわる」に比べてネガティブなイメージで使われることも多いようです。「じわる」が死語とはされず、生き残っているのには、同じ意味を正確に伝える新しい言葉が登場していないことが関係しているのかもしれません。
「じわる」誕生の経緯
「じわる」は、日本語の「じわじわとくる」を省略した言葉です。「じわる」という言葉が誕生したのは、2014年あたりからといわれます。
ツイッターやFacebookなどのSNSが使われるようになったのが2014年頃であり、それらのSNSに文字数制限がある中で、いかに必要な情報や感情を的確に伝えるかを意識してできた言葉だと考えられます。
ネットで使われる言葉は、若者などを中心に日常会話に取り入れられる傾向があり、「じわる」も同じようにして徐々に広まっていきました。
2015年には「今年の新語」大賞に選ばれるなど、「じわる」の認知度は増してきました。若者言葉は流行り廃りが激しく、世の中に定着する言葉は限られますが、「今年の新語」大賞に選ばれるということは、定着が見込まれると考えられたからです。
「今年の新語」は一般公募され、三省堂の辞書編集者たちが選考に加わります。同年に選ばれた言葉としては、「マイナンバー」「LGBT」「インバウンド」「ドローン」など、誰もが知る言葉が並びます。