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「忖度」は悪い意味なの!?本来の意味と使い方もあわせて解説

「忖度」という言葉は森友学園問題がきっかけに世間に知れ渡ったことで、悪い意味と信じ込んで使う人が増えています。現代語辞典でも、「他人の心中を推し量ること」と記述されているように、本来はポジティブな意味を持つ言葉になります。

「忖度」は悪い意味ではない

日本に古くから存在する言葉の中には、世の中の出来事がきっかけで日の目を見る物も少なくありません。1300年以上前から存在すると言われている「忖度」もその一つです。忖度が日常生活やビジネスで使われるようになった原因の一つに、森友学園問題があります。

森友学園問題とは、2016年に起きた、小学校用地として購入した国有地を巡るトラブルです。学園の理事長が国会議員と裏で関係を持っていたという疑惑が持ち上がった時に、メディアの報道で忖度という表現が多用されています。

事件が発覚する以前の日本では、忖度という言葉はビジネスなど限定されたシーンでしか使われていません。そのため、子供はもちろん、社会人でも正しい意味を理解していない人がたくさんいます。

意味を知らない人がメディアの報道を見て、忖度とは「相手の顔色を伺って機嫌を取ること」といった間違った解釈で使うようになったのです。

「忖度」の本来の意味

中国最古の詩集と言われる詩経にも記載されている忖度は、相手の気持ちを推し量る「忖」、物事の程度をはかる「度」を組み合わせた単語です。日本で発行されている現代語辞典でも、「他人の心中を推し量ること」と記述されているように、本来はポジティブな意味を持つ言葉になります。

ビジネスシーンにおける主な使い方は、「提携企業の担当者に忖度をして良い結果を得られた」「上司の気持ちを忖度して職場改善に取り組んだ」などです。否定形として活用する場合は、「忖度無しの意見交換」「自分の気持ちを伝える上で相手への忖度は不要」という使い方をされます。

「忖度」の間違った使い方

世の中には正しい意味を調べずに、ネットの掲示板やテレビのニュースで聞きかじった言葉を他者に自慢げに披露する人は少なくありません。忖度も同様に、社会的問題がきっかけに世間に知れ渡ったことで、悪い意味と信じ込んで使う人が増えています。

「同僚の出世は上司への忖度があった」「裏でお店側に忖度をして限定品を手に入れた」などのネガティブな表現で使うのは間違いです。ビジネスやプライベートの人間関係で恥をかかないように、正しい意味を理解して使うことが重要になります。