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「忖度」と「ひいき」の違いとは?両者の意味と使い方を解説

「忖度」は相手の気持ちを考慮するという意味を持つ言葉です。「ひいき」は自分が気に入った人を特別扱いして力添えをすることを表す単語です。「忖度」は相手の気持ちを推し量る言葉で、特定の存在を別格扱いをする「ひいき」とは意味が違います。

「忖度」の意味と使い方

プライベートの人間関係からビジネスまで幅広いシーンで使われる機会が増えている単語の一つに「忖度」があります。忖度は、中国最古の詩集と言われる詩経にも記載されるほど古い歴史を持つ単語です。

日本で最初に使われたのは、平安時代に実在した貴族の一人、菅原道真の自撰と言われています。忖度は相手の気持ちを考慮するという意味を持つ、ポジティブなイメージを持つ言葉です。現代語辞典でも、自分なりの考えで相手の気持ちを推し量る言葉と解釈されています。

忖度は上司を始めとした目上の人間はもちろん、対等の立場の同僚や友人相手でも使うことができるのが特徴です。主な使い方として、「取引先の企業に忖度をしたことで、自社に良い結果を得ることができた」などがあります。

そのほか、「忖度をせずにお互いの意見を言い合う」など否定形として利用することも可能です。

「忖度」のイメージが変わった理由

本来であればポジティブな意味を持つ「忖度」が、真逆の印象になった原因の一つが2010年代後半に起きた政治絡みの問題です。国会議員と大阪市にある学校法人の間に起きた問題の中で度々忖度という表現が使われたことで、ネガティブな印象が強くなったと考えられています。

政治絡みの問題が起きて以降、自分に有利な結果を得るための不正行為の表現で使われるようになっていますが、正しい使い方ではありません。

「ひいき」の意味と使い方

忖度と似たような表現の一つに「ひいき」という言葉があります。ひいきは、自分が気に入った人を特別扱いして力添えをすることを表す単語です。ビジネスシーンでは、「いつもごひいきにしてもらって感謝する」など、取引先の企業への感謝の気持ちとして使われます。

世の中には、「忖度」と「ひいき」を混同している人も少なくありません。「忖度」は相手の気持ちを推し量る言葉で、特定の存在を別格扱いをする「ひいき」とは意味が違います。ビジネスシーンはもちろん、プライベートの人間関係でも使い方を間違えるとトラブルになりかねません。

正しい意味を理解して、状況に応じて使い分けることが大切です。